老後資金はいくら必要?
60歳までに確認しておきたいお金のこと
「2,000万円必要?」と悩む前に、自分の家庭のお金を一度整理してみましょう。
「老後には、いったいいくらあれば安心なのだろう」
50代になると、こんなことを考える機会が増えてくるのではないでしょうか。
1,000万円あれば大丈夫なのか。
2,000万円必要なのか。
それとも、3,000万円以上用意しなければならないのか。
インターネットで調べてみても、
「老後資金は3,000万円必要」
「1億円あっても安心できない」
など、さまざまな情報が出てきます。
これでは、かえって不安になってしまいます。
しかし、本当に大切なのは、「世間ではいくら必要と言われているか」ではありません。
大切なのは、「自分の家庭では、毎月いくら足りなくなるのか」を知ることです。
今回は、老後を迎える前、特に60歳までに確認しておきたいお金のことを一つずつ考えていきます。
50代から考えておきたい老後のお金
- 老後資金は「2,000万円」と決まっているわけではない
- まずは「老後の毎月の生活費」を考える
- 次に確認したいのが「年金はいくらもらえるのか」
- 「老後資金2,000万円」より大切な計算
- 60歳までに確認したい① 年金見込み額
- 60歳までに確認したい② 退職金
- 60歳までに確認したい③ 住宅ローン
- 60歳までに確認したい④ 持ち家でも住宅費はゼロにならない
- 60歳までに確認したい⑤ 車をいつまで持つのか
- 60歳までに確認したい⑥ 医療費と介護費
- 60歳までに確認したい⑦ 子どもへの援助
- 60歳までに確認したい⑧ 現金はいくら持っておくか
- 60歳までに確認したい⑨ 何歳まで働くのか
- 老後資金は「貯金だけ」で考えなくてもいい
- 反対に「資産が多いから安心」とも限らない
- 老後資金を考えるなら「90歳」まで一度計算してみる
- 60歳までに作っておきたい「老後のお金一覧表」
- たとえばこんな家庭ならどうなる?
- 老後資金で最も怖いのは「金額を知らないこと」
- 50代なら、まだできることはたくさんある
- 老後の安心は「何千万円あるか」だけでは決まらない
- まとめ まずは「自分の老後」を数字にしてみよう
老後資金は「2,000万円」と決まっているわけではない
老後資金というと、数年前に話題になった「2,000万円」という数字を思い浮かべる人も多いと思います。
しかし、すべての家庭に2,000万円が必要なわけではありません。
たとえば、毎月20万円で生活できる家庭と、毎月35万円必要な家庭では、 老後に必要なお金はまったく違います。
賃貸なのか。
住宅ローンが残っているのか。
車を持ち続けるのか。
旅行を楽しみたいのか。
子どもや孫への援助をしたいのか。
こうした条件によっても大きく変わります。
そのため、老後資金は「○○万円あれば安心」と一つの数字で決めることができません。
まず確認したいのは、「老後の毎月の生活費」です。
まずは「老後の毎月の生活費」を考える
老後資金を考えるときは、年間ではなく、毎月いくら使うのかから考えると分かりやすくなります。
たとえば夫婦2人で、
| 項目 | 毎月の金額 |
|---|---|
| 食費 | 7万円 |
| 水道光熱費 | 2万5,000円 |
| 通信費 | 1万5,000円 |
| 日用品 | 1万5,000円 |
| 医療費 | 2万円 |
| 交通費・車関係 | 3万円 |
| 保険料 | 1万円 |
| 趣味・娯楽 | 3万円 |
| 交際費 | 2万円 |
| その他 | 2万円 |
とすると、毎月の支出は約25万円になります。
もちろん家庭によって大きく違います。
ここで重要なのは、現在の生活費を基準に考えることです。
老後になったからといって、生活費が突然半分になるわけではありません。
会社員時代には必要だったスーツ代や通勤費などは減るかもしれません。
一方で、医療費、自宅の修繕費、旅行費、趣味のお金などが増える可能性もあります。
老後の生活費は毎月いくら必要なのか確認してみましょう
次に確認したいのが「年金はいくらもらえるのか」
老後資金を考えるうえで、生活費と同じくらい重要なのが年金です。
たとえば、
老後の生活費が毎月25万円。
夫婦の年金が毎月22万円。
この場合、毎月3万円不足します。
年間では、3万円×12か月=36万円。
仮に65歳から90歳まで25年間続けば、
になります。
つまり、単純計算では約900万円を貯蓄などから補う必要があります。
一方、毎月5万円不足する家庭なら、
毎月10万円不足するなら、
ここまで計算すると、なぜ家庭によって必要な老後資金が違うのかがよく分かります。
「老後資金2,000万円」より大切な計算
老後資金を考えるときは、次の式を覚えておくと便利です。
そして、
を計算します。
たとえば、生活費27万円、年金22万円なら、毎月5万円の不足。
65歳から90歳まで25年間なら、
これに、住宅修繕、車の買い替え、医療・介護、家電買い替え、旅行などの臨時支出を追加して考えていきます。
これが、自分自身の老後資金を考える基本になります。
60歳までに確認したい① 年金見込み額
まず最初に確認しておきたいのが、自分はいくら年金を受け取れる予定なのかということです。
老後資金について考えているのに、意外と自分の年金額を知らない人は少なくありません。
年金額が分からなければ、必要な老後資金も計算できません。
50代になったら、「だいたいこのくらいだろう」ではなく、実際の年金見込み額を確認しておきたいところです。
さらに、65歳から受給するのか、繰り下げ受給するのか、夫婦それぞれ何歳から受給するのか、こうしたことも考えておく必要があります。
50代になったら年金見込み額を確認しておきたいところです
60歳までに確認したい② 退職金
会社員や公務員の人なら、退職金も老後生活の大きな支えになります。
しかし、「退職金があるから大丈夫」と考えるだけでは危険です。
確認したいのは、実際にいくら受け取れる見込みなのかです。
さらに重要なのが、退職金を何に使うかです。
リフォームする。
車を買う。
旅行に使う。
子どもを援助する。
こうして使っていけば、2,000万円の退職金でも、あっという間に減ってしまう可能性があります。
退職金は、老後生活を支える大切な資産として考えておく必要があります。
60歳までに確認したい③ 住宅ローン
老後生活に大きな影響を与えるのが住宅費です。
特に、60歳を過ぎても住宅ローンが残る場合には注意が必要です。
現役時代には月10万円の住宅ローンを無理なく払えていても、年金生活になれば大きな負担になるかもしれません。
たとえば、年金が月22万円なのに、住宅ローンが月8万円残っていたら、残り14万円で生活しなければなりません。
60歳になる前に、住宅ローン残高、完済予定年齢、毎月返済額、繰り上げ返済するべきか、などを確認しておくことが重要です。
60歳までに確認したい④ 持ち家でも住宅費はゼロにならない
住宅ローンを完済すれば、「これで住宅費はかからない」と思ってしまいがちです。
しかし、持ち家でもお金はかかります。
長く住んでいれば、さまざまな設備が古くなります。
老後資金を計算するときは、日々の生活費とは別に、住宅修繕用のお金も考えておいたほうが安心です。
持ち家でも老後の住宅費はゼロではありません
60歳までに確認したい⑤ 車をいつまで持つのか
地方に住んでいる人にとって、車は生活必需品という場合も多いでしょう。
しかし、車は老後の家計に大きな影響を与えます。
これらを合計すると、かなり大きな金額になります。
さらに、60歳で新車を購入しても、70歳、80歳になるまでにもう一度買い替える可能性があります。
老後資金を考えるときは、「車を何歳まで持つのか」「あと何回買い替えるのか」まで考えておくと、より現実的になります。
老後も車を持ち続けるのか考えておくことも大切です
60歳までに確認したい⑥ 医療費と介護費
老後に不安を感じる理由の一つが、病気や介護ではないでしょうか。
もちろん、将来どんな病気になるのか、介護が必要になるのかを予測することはできません。
しかし、ある程度のお金を予備費として用意しておくことはできます。
老後資金をすべて、「毎月の生活費」として計算するのではなく、いざというときに使える現金を別に持っておくことも重要です。
特に年齢が高くなるほど、「資産額」だけでなく、「すぐに使えるお金がいくらあるか」も大切になってきます。
医療や介護への備えも老後資金の一部です
60歳までに確認したい⑦ 子どもへの援助
意外と老後資金を減らしてしまうのが、子どもや孫への援助です。
住宅購入。
結婚。
出産。
孫の入学。
大学進学。
さまざまな場面で、「少しくらい援助してあげたい」と思うことがあるでしょう。
もちろん、家族を助けることは悪いことではありません。
しかし、自分たちの老後資金を削りすぎてしまえば、将来、逆に子どもに助けてもらわなければならなくなる可能性があります。
まずは、自分たちの老後生活を守れる金額を確保してから援助を考えることが大切だと思います。
家族への援助も自分たちの老後資金とのバランスが大切です
60歳までに確認したい⑧ 現金はいくら持っておくか
投資をしている人の場合、老後資金の多くを株式や投資信託で持っていることもあります。
しかし、すべてのお金を値動きする資産にしてしまうと、株価が大きく下落したときに、生活費のために売却しなければならないことがあります。
若い頃は、資産を「増やすこと」が中心です。
しかし60代以降は、増やすことと同時に、どう取り崩すかも考えなければなりません。
60歳までに確認したい⑨ 何歳まで働くのか
老後資金を大きく左右するのが、「何歳まで働くのか」です。
60歳で完全に仕事を辞める場合と、65歳まで働く場合。70歳まで少しずつ働く場合では、必要な老後資金は大きく違います。
たとえば、毎月10万円でも仕事から収入があれば、年間120万円になります。
5年間なら600万円です。
さらに、その間に貯蓄を取り崩さずに済めば、資産寿命を延ばすことにもつながります。
老後の仕事は、収入だけでなく、生活のリズムや社会とのつながりを保つという意味でも大きな役割を持つかもしれません。
老後資金は「貯金だけ」で考えなくてもいい
老後資金というと、銀行預金の金額だけを考えてしまいがちです。
しかし実際には、
など、さまざまな資産があります。
そのため、「銀行に1,000万円しかない」だけで不安になる必要はありません。
大切なのは、老後に使える資産全体で考えることです。
一度、自分が持っている資産をすべて紙に書き出してみることをおすすめします。
意外と、「思っていたより資産があった」という人もいると思います。
反対に「資産が多いから安心」とも限らない
3,000万円あれば安心。
5,000万円あれば安心。
1億円あれば安心。
そう考えたくなりますが、資産が多ければ必ず安心できるわけでもありません。
毎月50万円使う家庭なら、5,000万円あっても減っていきます。
毎月20万円で満足して暮らせる家庭なら、それほど大きな資産がなくても生活できるかもしれません。
老後資金を考えるなら「90歳」まで一度計算してみる
何歳まで生きるのかは誰にも分かりません。
しかし、老後資金を考えるなら、少なくとも一度は90歳くらいまで生活すると仮定して計算してみるとよいと思います。
60歳から90歳までなら30年間あります。
老後は、私たちが想像している以上に長い可能性があります。
だからこそ、60歳になる直前ではなく、50代のうちから考えておくことが大切なのです。
60歳までに作っておきたい「老後のお金一覧表」
私は、老後資金について不安を感じている人ほど、一度すべて数字にしてみることをおすすめします。
難しい表を作る必要はありません。
紙1枚でも十分です。
預金・株式・投資信託・その他
退職金・企業年金・個人年金など
本人・配偶者・合計
食費・住宅費・光熱費・通信費・医療費・車・趣味・その他
住宅修繕・車買い替え・旅行・医療介護・子どもへの援助
ここまで書けば、老後のお金がかなり見えるようになります。
たとえばこんな家庭ならどうなる?
例を挙げるとわかりやすいので、一つ例を考えてみます。
金融資産が2,500万円。
夫婦の年金が月23万円。
毎月の生活費が27万円。
すると、毎月4万円不足します。
年間48万円。
65歳から90歳まで25年間なら、
2,500万円の資産があれば、単純計算ではかなり余裕があります。
ただし、
住宅修繕300万円。
医療・介護予備費300万円。
旅行など300万円。
と考えれば、追加で1,200万円です。
= 2,400万円
こう考えると、「2,500万円あるから絶対安心」とは言い切れないことが分かります。
同時に、「2,000万円なければ老後破産する」とも言えません。
結局は、一人ひとり条件が違うのです。
老後資金で最も怖いのは「金額を知らないこと」
私は、老後資金で一番怖いのは、資産が少ないことだけではないと思っています。
それ以上に怖いのは、自分がいくら持っていて、将来いくら必要なのか分からないことです。
分からないから不安になります。
退職金が分からない。
生活費が分からない。
住宅ローン残高も正確には分からない。
こうした状態では、「老後に3,000万円必要」という記事を読むたびに不安になってしまいます。
しかし、自分の数字が分かっていれば、必要以上に怖がることはなくなります。
50代なら、まだできることはたくさんある
もし計算してみて、「思っていたより老後資金が足りない」と気づいたとしても、50代ならまだ時間があります。
さまざまな方法があります。
むしろ、60歳になる前に不足に気づくことができたなら、それは悪いことではありません。
何も知らないまま老後を迎えるより、ずっと対策しやすいからです。
老後の安心は「何千万円あるか」だけでは決まらない
老後について考えると、どうしても資産額ばかりが気になります。
1,000万円。
2,000万円。
3,000万円。
5,000万円。
しかし本当に大切なのは、金額だけではありません。
年金はいくら入ってくるのか。
住居費はいくらかかるのか。
何歳まで働くのか。
どんな老後を送りたいのか。
こうしたことによって、必要なお金は大きく変わります。
まとめ まずは「自分の老後」を数字にしてみよう
老後資金について考えるとき、最初から「3,000万円貯めなければ」と考える必要はありません。
まず確認したいのは、自分たちの生活では、本当にいくら必要なのかということです。
これらを一度整理してみてください。
すると、漠然としていた老後への不安が、少しずつ具体的な数字に変わっていきます。
老後のお金について、一番避けたいのは、「怖いから考えない」ことなのかもしれません。
50代は、老後が現実になってくる年代です。
しかし同時に、まだ準備できる時間が残っている年代でもあります。
大切なのは、他人の老後資金と比べることではありません。
老後の安心は、「大金を持っていること」だけではなく、自分のお金の状況を理解していることから始まるのではないでしょうか。


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